2012年7月11日水曜日

ワスレ、ラレナイ。

キリマンジャロは、高さ19,710フィートの、雪におおわれた山で、アフリカ第一の高峰だといわれる。その西の頂はマサイ語で、“神の家(ヌガイエ・ヌガイ)”と呼ばれ、その西の山頂のすぐそばには、ひからびて凍りついた一頭の豹の屍が横たわっている。そんな高いところまで、その豹が何を求めてきたのか、今までだれも説明したものがいない。

~キリマンジャロの雪(ヘミングウェイ)より~



1997年夏―タイ、バンコクでない何処か地方都市(←忘れた)。

私はいつものようにビーチサンダルでぺったんぺったん街を闊歩しておりました…。

ぺったんぺったんぺったんぺったん…


…ぺったんぺったんぺっ“プチッ!”


なんか踏んだっ!と思いました。しかもサンダル越しに踏んだのではなく、ナゼかフレッシュな生の感触です。


足の裏を確認すると、踵のど真ん中にハエが潰れてひっついていました。

「うへっ。キッタネー。」と慌ててピシッと人差し指で弾き飛ばしました。


…。

しかし…、と少し冷静になって考えました。


あくまでフツーに歩いていた足の踵とビーチサンダルの僅かな隙間、そして片足が地面を離れて再び地面を踏みしめるまでのほんの一瞬、その瞬間、そのハエは何を思ってその危険な空間に突入しようとしたのか…?

その当時ふたつの物語がふと私の頭に浮かびました。
リチャード・バックの『かもめのジョナサン』とヘミングウェイの『キリマンジャロの雪』…、

をアッシュが回想している『バナナフィッシュ』の名シーンです。



その隙間、オレなら…、イケる!とスピードの向う側を夢見たハエの自分の生命をかけた挑戦だったのか。

それとも私がその昔北海道で起こしたバイク事故のようにキラキラと光る美しい海に見とれながら走っていてふと視線を前方に移すと(←ふと移してどーする)もはや手遅れな距離に右折車両が停まっていた時と同じような感じだったのか(←馬鹿)。


今でも時々、このハエのことを思い出します。高みへ、高みへと登りつめる孤高の精神を持つ希有なハエだったのか、ただの馬鹿だったのか分からないハエのことを…。

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